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ご覧頂きますように、現在約75万平米の日本での実績のうち、九州からのデッキ材での報告が圧倒的です。九州地域は、地域別木材劣化危険度表でも極大となっておりますので、九州地域でのデッキ へのご使用には、充分にご注意ください。特に水分の滞留しない構造をお勧めいたします。 九州地域の木材劣化危険度が極大の地域で、かつ構造上乾燥しにくく含水率が20%を超える状態の部材がある場合は、たとえ非接地でも数年で腐朽していく場合があるとされていますので、地域と構造上の問題の両方を満たしている場合、ウッドロングエコの塗布にて、通常より腐朽経過時間を遅らせることができたとしても、最終的には腐朽する状況になったと考えられます。
倉庫に右の様にカットした杉材を数十個入れて、何百ケースを1年間保管していたところ、そのうちの1箱だけが右のように腐っていました。あとで聞きましたところでは、使用した杉材の原材料のうちには、枝打ち材や風倒木なども入っていたとのことで、既に腐朽菌が中で活着していた枝打ち材や風倒木が製品に混じっていた為に、同じ条件で保管していたものの中でも、1ケースだけが腐朽したものと思われます。

 

(於、九州地域)

 
保育園のウッドデッキで浸漬した杉材を張ったものです。約2年で下の写真のように小口のところから腐ってきました。通常腐朽が始まっていくところは、日が当たらない部分や、水はけが悪く、水分が滞留しやすい部分の面全体に始まりますが、この場合は、別の写真で全体を見ますと、全く離れたところで、ところどころスポット的に小口面が腐朽しております。このことから、考えられますことは、何らかの形で、原材料の段階で既に、腐朽菌が活着侵入していたことが、伺われます。又、滑り止めに表面全体を溝きり加工してありますが、これが平滑な板材に比べて、水分の滞留を促進していることも一要素と考えられます。この表面全体の溝きり加工は、又、靴などとごみや砂との摩擦でおきる表面の削れにも弱いことから、浸漬当初の湿潤長1ミリ未満のものがはがれや、削れにあった可能性もあるかもしれません。その後聞きましたら、この写真以降も、2回ほどところどころスポットで板材を取り替えているそうです。

通常内地材、外材とも、伐採後から製材までの間に、かなりの時間がどば置きとなる場合が多いので、その間に切断面に着床した腐朽菌が木材の含水率が20〜30パーセント前後に落ちた時点で、活性し、菌糸を木材内部に浸出させますが、製材、乾燥過程で生き残ったものが、スポット的に材の中に紛れ込む例が往々にしてあるようです。特に、これは、除湿乾燥法および、天然乾燥法に顕著で、熱気乾燥法は、材内部の調節温度により、又高周波減圧乾燥法では、ほとんど死滅する事が解っております。その後、クレオソート(現在は発がん性の為、禁止)やクロム、銅、脂肪酸金属塩等の薬剤の加圧注入処理をすれば、死滅する確立が高いのですが、このウッドロング-ECOは、天然物由来ですから全く無害ですので、腐朽菌を殺す作用ではなく、忌避反応を生じさせて、木材内部への浸透と活性を防ぐものです。

(於、九州地域)

 

 

 
物干し用の杉材ウッドデッキに、見栄えの良いように幕板を張っていたのですが、幕板とデッキの間に、常に雨水が滞留して、なかなか、乾きにくい構造となっておりました。右の写真は、その幕板を取り外したところですが、褐色腐朽が見られます。

九州南部は、地域別木材劣化危険度表でも極大となっておりますので、なるべく水分の滞留しない構造をとった方が、良いと思われます。又、長持ちさせる秘訣は、普段からの、見守りで、腐朽する前の、苔やカビの発生の時点で対処できるようにすることとされております。

(於、九州地域)

   
レッドシーダーのデッキ材がコンクリートの下地に密着している横木材との接合部分から、褐色腐朽した例です。このレッドシーダー材は、樹種鑑定の結果、通常の米大陸太平洋岸の計画森林から出てきたものでなく、小径木で心材が未発達の、間伐あるいは、枝取り材からでたものとされ、耐腐朽性能が弱い材でした。又、写真で見られますように、デッキ表層材とコンクリートとの間は、横木1本分の隙間しかなく、雨水が滞留しやすく、又再乾燥しにくい環境中にあったためと、下地の横木表面にコンクリート面や石などとの摩擦や、こすれなどで、表面にけずれた箇所が出来た可能性とで、腐朽が進み、密着部分に菌糸が移行していったものと思われます。又、本塗料も、白色腐朽菌に対しての抗腐朽性がJISK1571と同等以上に高いのですが、それにに比較して、日本種の褐色腐朽菌には劣るために密着部分の忌避効果が充分発揮できなかったこと等と、幾重にも腐朽しやすい要因が重なったことが原因と思われます。
 

(於、九州地域)
 

 
幼稚園のウッドデッキで、写真で見られますように、材の割れが進行して、常に水分がそこから抜けにくい状態になっている為に、腐朽がまさこれから進もうとしている部分です。この状態 になる以前に上塗りをかけておくと進行が止まる場合が多くあります。

(於、九州地域)

 

   
右の写真も築1年で干割れと節まわりの割れから腐朽がまさこれから進もうとしている例です。このケースでも辺材の木表の見栄えのよい部分を表にしていますので、水の滞留が起こりやすくなっていました。通常細かな干割れの中にも銀白色の部分が次第に現れてきますが、節まわりの割れと干割れの進行と水の滞留が重なり、効果が追いつかなかったようです。デッキ材の場合、メンテナンスとして干割れや、節まわりの割れ、ボルトや釘、木ねじ等の頭部のへこみなどが、周囲より長く湿った状態になっていないか、色が薄く抜けている部分や、変色している部分などが無いかどうかや、また水分の滞留しやすい接合部分や、鉄材との取り付け部分に苔やカビなどの発生が見られないか等、普段からの見守りと、早めの手当ては長持ちさせる要点となります。

(於、九州地域)

   
宮崎県の築3年のウッドデッキの例です。これも褐色腐朽菌などによる腐朽が幕板により起されたようです。通常木材腐朽菌は、乾燥と湿潤が繰り返される状態でも、含水率20%以下では、活性できませんので、耐腐朽を考えたデッキなどの外構材の設計では、幕板を張らないか、張る場合でもラバークッションなどで、水切りと縁切りを図ることとされておりますが、今回の場合は、幕板により雨水などの滞留が起こり、構造上風も入らず、相当期間乾燥しない状態が続き、部材含水率が20%を超える状態が続くようになったものと思われます。又、幕板と接触している床材の木口面は繊維の断面が出ているため、このように滞留した水分があると導管現象により材の奥まで水分を吸いやすく、表面より深部が乾きにくい状態が続いてしまいます。又、床材を必ず木裏を表面にして施工すると水の滞留が起こりにくいとされておりますが、今回のような小径木の床材の場合でも全て木裏を表にしておけば、深部が乾きにくい状態が多少改善されていた可能性があります。九州南部の木材劣化危険度が極大の地域で、かつ乾燥しにくく含水率が20%を超える状態の部材がある場合は、たとえ非接地でも数年で腐朽していく場合があるとされていますので、今回のケースのように、地域と構造上の両方を満たしている場合、ウッドロングエコの塗布にて腐朽経過時間を遅らせることができたとしても、3年で腐朽する状況になったと考えられます。

(於、九州地域)

 

ベイスギ材で、4年経過したものです。写真が小さくて見えにくいですが、階段の踏み板の両脇、上のデッキの先端部分や干割れ、節まわりの割れの部分に、緑色のこけが生えています。この部分が常に含水率が高くなってしまっている部分です。

ウッドロングエコは、木材表面全体を天然由来成分で覆い、その成分が木材の表面成分にあるタンニンやポリフェノールなどと、反応して固着し、腐朽菌に対して忌避反応をもたらし、木材表面を保護する作用を持つ塗料ですので、本塗料を塗布した後に開けた穴や、木材の乾燥と収縮によりできて来た干割れや節まわりの割れなどがありますと、約2〜6ミクロン程度の肉眼では見えない腐朽菌の胞子が、雨水などとともに穴や割れから染み込んで、それが毛細管現象で木材内部へ入っていき、内部の細胞壁孔などから10ミクロン程度の菌糸を侵入させていき、材内部から腐朽させていく場合があります。但し腐朽菌の胞子が活着しても、木材内部でその成分であるリグニンやセルロースを活発に分解して木材内部全体に育って行く為には4つの条件が整わなければ、結局腐朽過程は進まずに終わってしまいます。その4つの条件とは、温度(気温)、栄養(木材成分)、酸素(空気)、そして水分です。温度(気温)、栄養(木材成分)、酸素(空気)は、外構木材ではコントロールすることは不可能ですが、最後の水分については、構造上の工夫などでコントロールすることが可能です。
通常木材腐朽菌は、乾燥と湿潤が繰り返される状態でも、木材内部の含水率を20%以下にしておけば、内部からの活発な腐朽活動はおこりません。
今回の場合ですと、

   干割れや、木ねじにそっての割れ、節まわりの割れなどが見受けられた時点で、その部分に中に入り込むように再塗布をするか、スプレーなどで、割れの内部まで塗料をしみこませていくことで、ある程度の防止が可能となります。

   ほぞきり、仕口加工は、結果的に水の滞留を長く保つ原因と成ってしまいますので、通常避けるべきものとされております。、外へ向けて水勾配を1度くらい取ることで、水の滞留を防ぐことも有効と思われます。

* 右の写真のように、滑り止めなどのために、デッキの水平材に溝をつけたものが見受けられますが、これは人工的に干割れを作ったのと同じで、溝の底部で、水分を供給し腐朽菌を培養する結果となります。特に右のように大きな干割れができたら、すぐ対処した方が良いと思われます。

   木ねじは怪我をしないようにと、深くねじ込みやすいのですが、これも結果的には人工的に干割れを作った事と同じ現象を作り出し、腐朽の原因を作り出します。

   全て木裏を縁側の表面に来るようにすると、材同士の隙間を空けた意味が生きてきて、材の中央部分が最後まで乾かないという現象が少なくなるかと思われます。

(於、九州長崎地域)

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